ニュートリノが光速を超えたとするニュースが報じられたが。。。

自分は物理学者ではないので、専門的な事はコメントできないけど、この件に関して思う事があった。

まずは一部のマスコミ報道が酷すぎるという事。HP上の新聞の見出しなのだが、こんな感じ。

朝日新聞 「光より速いニュートリノ」計測 国際研究グループ発表
事実だけをタイトルにし、余計な憶測・予断を一切いれておらず、科学記事のタイトルとしては好感がもてます。


・読売新聞 根底崩れた?相対論…光より速いニュートリノ
毎日新聞 物理:光より速いニュートリノ? 相対性理論覆す発見か
予断が入っているのがちょっとアレですね。相対論に限らず歴史のある理論はどれも長年検証されつづけ、幾たびの振るい落としにも耐えて生き残った屈強な理論です。今回の件で相対論が補強される事はあっても、覆される事はまずないでしょう。まあそれ以前に、追試でこの実験結果が否定される可能性の方が高いと個人的には思っていますが。


産経新聞 「タイムマシン可能」ニュートリノ実験結果に専門家ら驚き
むしろ、専門家はこのタイトルの方に驚くわ!!何なのタイムマシンって??
そして極めつけはその内容。。。


>光速で動く物体が時間が止まった状態だとすると、それよりも速いニュートリノは時間をさかのぼっているのかもしれない。
>すると、過去へのタイムトラベルも現実味を帯び、時間の概念すら変更を余儀なくされる可能性もある。


一万歩譲って「ニュートリノが時間をさかのぼった」としても、タイムトラベルが現実味を帯びるとか、完全に厨二病です、本当に(r。このタイトルと内容からし産経新聞には科学を理解しているライターや編集は一人もいないと思われます。仮に知っていて書いているとしたら、最悪です。いずれにしても、大手新聞社がこんな記事を書く事は大罪だと思います。この新聞の科学欄を見てはいけません、バカになります。
と、ちょっと興奮気味になってしまいました。


で、朝日以外のタイトルがアレなわけですが、こういうタイトルの方が読者の心をつかみ易いという事があるのだと思われます。夢のあるタイトルが悪いというわけではないですが、あまりにも現実離れしたものは、NGです。
これは裏を返すと、国民的な科学リテラシーの低さの現われだと思うのですよね。もちろん日本国民のは科学リテラシーは世界の中では高い方だったはずですが、もっともっと高めるべきだと思います、少なくともマスコミやトンデモ科学に踊らされない程度には。
おそらく科学者たちは、この件に限らず科学に関するマスコミの誇張報道をみては苦笑いしている事でしょう。しかし彼らが何もしなければ、この状況はおそらく変化しません。たとえば科学者自身が、もっとわかりやすい国民目線の発表をするとかいいと思うんですよね。「1番じゃなきゃ駄目なんですか」発言ってのがありました。あれは結局「1番のメリット」を当事者(研究者)がその場でわかりやすく説明できなかったわけです。国民目線の説明を怠ってきたツケですね。
とか言っても何かそういうわかりやすい情報発信に対しては国からインセンティブを与えるとかしないと、状況は変わりそうにありませんが。。。
自然科学者、研究者の方々がんばってください。